車でGO!

date

2007/05/13(sun) 中潮

point
有明(西ふ頭公園)
report

 車を走らせないといけなくて、ついでに釣りに行くことにした。

 我が家の車はとても不憫で、めったに乗ってもらえない。それというのもオーナーが運転嫌いとゆうか運転下手で、その助手席に嬉々として乗り込むのは愛犬ぐらいなものだからだ。だが乗らずにいると、バッテリーが上がる。これまで何度も苦汁を飲んでいて、その都度にJAFのお世話になっていた。自宅の駐車場でJAFに助けてもらうのは、なんとも情けないものがある。その上、来てもらうたびにバッテリーを交換しているので、金もかかる。一度ブーストだけで終わらせたことがあったのだが、JAFが帰った直後に、立体駐車場のパレットから車体半分出庫したところで、エンストした苦い経験があるからだ。立駐って奴は誰かが使っていると次の人は待っていないといけない。ここで誰か来たらどうしようとパニックなった小心者のオーナーは、それ以来必ずバッテリー交換とするようになってしまった。そんな訳だから、うちの車はガソリン代よりバッテリー代のほうが高くついたりしている。

 「こんななら、いっそ廃車にすればいいのに」と妻は言うのだが、貧乏性が災いして、踏ん切りがつかない。せめてバッテリーが上がらないようにと、用もないのに車に乗るようにしていたのだが、ここのところチョイと油断をしていた。気づくと3ヶ月近くほったらかしになっている。これはまずいと、おそるおそる運転席に着くが、案の定エンジンがかからない。

 「またJAFか」と気落ちしていたのだが、ふと思うところあって納戸を覗いてみると、あった。ブースター機能付きバッテリーチャージャーである。実のところ、この便利なお道具があることは覚えていたのだが、そこにブースト機能があることを失念していたのだ。これでうまくいけば、JAFも呼ばずに済むし、バッテリーも交換しなくてもいいかもしれない。立駐から最寄のコンセントまで、延長コードを3本継いで、件のチャージャーをバッテリーに繋いでみる。説明書に5〜15分待てと書いてあるのを、これまた「人が来たらどうしよう」と、最短の5分でそそくさとキーを回してみた。お、かかった。いやあ、これで今後も安泰だ。でも、せっかく契約しているJAFは、バッテリー上がり以外で使うことないんだよなぁ。

 とにかく車が動くようになったので、またバッテリーが上がらないようにと、しばらく走らせることにした。とはいえ、ただ走らせるだけではつまらないので、今年ひそかなマイブームになっている有明西ふ頭公園に行くことにした。これに、マックスのお散歩も兼ねようとするところに、小市民のせせこまさが滲んじゃってるのだが。

 動機が動機なだけに、潮回りも調べていなかったのだが、午後3時を回ろうという有明の海はそこそこ潮がかかっている。ウミネコが急降下で餌をとっていたりもして、雰囲気は悪くはなさそうである。と、こういう書き方をしたときはまず釣れたためしがないのだが、はい、今回もダメでございました。ビッグサイト前のゴロタ周りを探ったり、へちをテクトロしてみたりしたのだが、魚信らしい反応もなく終わってしまった。

 陽も暮れかかり、マックスもすっかり散歩に飽きたようなので、そろそろ帰ろうとしたところだった。入れ替わるように釣りに来た幼い姉弟が、「釣れましたか?」と訊ねてきた。聞くと、少年は最近ここでフッコを釣ったと言う。え?どこで?何時ぐらい?餌?などと、釣れないおじさんは大人気なく子供を問い詰め、たたもうとした竿をまた振りはじめる。だが悪あがきの甲斐なく、姉弟の哀れみの視線を背に、すごすごと引き上げることになった。

 帰路はビッグサイトの脇の道を抜ける。ここにカートレーラーが所狭しと並び、展示場からは続々としゃれた車が搬出されている。後で調べると「東京スペシャルインポートカーショー」なるものをやっていたようで、気づくと愛車の前にも平べったい風変わりな車が走っていた。テールランプの上には「Lamborghini」の文字が映える。おお、これは!幼少のみぎり、かのスーパーカーブームの中でも一際人気を誇っていたカウンタックではないか(多分)。恐ろしげなエグゾーストノイズを轟かせながら、夕暮れの日本の公道で渋滞に巻きこまれている。ああ、スーパーカーなのに。その姿を見ながら、ぼろぼろでも、犬を乗せて釣り場に行ける車のほうが、俺には合ってるなぁとしみじみ思うのだった。

result

No-Fish

photo
なし  

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