【on a slow boat to choka】
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2001/11/10(sat) 長潮 |
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ボート(シーバスジョイマリン) | ||||||||||||
report
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1995年12月10日以来、6年ぶり2回目のボートシーバスである。当時、まだ出会えぬシーバスを釣りたかったkosukosuと、初ヒットのあの興奮をもう一度味わいたかった僕が、安直に選んだのが乗合ボートだった。しかし結果は散々で、乗船8人中釣れたのは2人だけ。kosukosu共々、金を払ってボウズに終わった。 それから幾年、釣り仲間も増え、ボートをチャーターできるまでになった。ところが皮肉なもので、そうなると今度は自分のスケジュールが合わなくなってくる。特に昨年などは、「シーバス37尾+イナダ6尾」という好釣果の船に乗りそびれるという、悔やんでも悔やみきれない事態となった。 そして今年である。ボートは当然ながら昨年と同じ、白井船長のシーバスジョイマリン(cafe推奨)である。となればこれは、雨が降ろうが槍が降ろうが、行ぐ行ぐ、行っちゃうんなのだ。 かくして雨は降った。前日から。おそらく水温もぐんと下がっていることだろう。でも大丈夫だ、きっと。何の根拠もない確信を胸に、4:30、横浜港の待ち合わせ場所に集う。そこに割増料金のメーターを立てたタクシーが滑り込んできた。降りてきたのは白井船長。「おおっ、船長はやはり違う」と内心、舌を巻いていたのだが、「参りましたよ。原チャリ、イタズラされちゃって」と、泣きが入った。このとき、船長がへこんでいることを見抜けなかったのは、kosukosuと僕の二人だけだった。 5:15、船は桟橋を離れ、一路ポイントへと向かう。吹きつける雨と波しぶきに、早くもびしょ濡れになりながら、今日の釣果を祈る。「お願いです。どうか私だけは」と。 かれこれ1時間近く走り、辺りも明るくなってきたころ、船は最初のポイントであるシーバースに到着した。早速、水深15mの海にメタルジグを落とし込む。それから巻いては落とし、巻いては落としを繰り返していると、竿先にかすかな引きが。来た。合わせもそこそこに巻き上げる。というより、魚が小さいらしく合わせると寄ってきてしまう。そして波間に魚体が見えたその時、ばれた。あっさりと。まあ、始めたばかりだし、これからだこれから。それにしても、この「これから」がどれほど長かったことか。 バラシから間もなくgakuが最初の1本をあげた。急いで写真を撮りに行く。この後も、誰かが釣るたびにカメラを構えたのだが、そんなことをやっている場合じゃなかったのだ、ほんとは。だがもう一人、写真を撮りまくっている男がいた。その男も、そんなことをやっている場合じゃなかったのだ、ほんとのほんと。HPを持つと、こういうことになるから大変である。 gakuに続いて、今度はsakuが魚をかけた。しかし、なかなか上がってこない。船長も、これはシーバスじゃなさそうだと言う。「イナダか?」とみなの注目が集まる中、上がってきたのはスレ掛りのボラだった。sakuはその後すぐに、本命のセイゴを釣りあげ、しっかりとお土産をゲットした。 メタルジグの落とし込みは、初心者でも安心して楽しめる。で、シーバスは初めてのroko(うちの奥さん)も連れいった。最初は、それでも横に付いていたのだが大丈夫そうだったので、少し目を離してルアーを結びなおしていた。するとsakuが教えてくれた。「奥さん、釣れてますよ。」あわわ、きっと引き上げられずにおろおろしているに違いない。と心配したのも束の間、またもやsakuが、「あ、抜いちゃった」と言う。ええっ?あ、ほんとだ。駆け寄ったときにはすでに、足元で魚が跳ねていた。それもけっこう良型。測ってみると47cm。これ抜いちゃったの?その安物のバスロッドで?だがとにかく、この時点で船中一番のグッドサイズ。これで、「yoichの奥さんのroko」ではなく、「rokoの夫のyoich」に立場が逆転しちゃったのだった。 そうこうしている内に潮が止まり、魚の活性が下がり始めてきた。そのときである。gakuがおもむろに、大切なdaikoのロッド(abuのリールつき)を海の神に捧げたのだ。さすが今年のMVA、優勝にかける執念が違うな。目は呆然と宙をさまよっていたが。 アタリもすっかり遠のいたので、船は2番目のポイントに向かった。こんどは沖に伸びる防波堤まわりである。近くに鳥が群れていて、なんとも雰囲気のある場所だ。ここで白井船長からアドバイスが。 一方、他の者どもは愚直にしゃくり続けていた。中でも一番の正直者がメタルジグを落とし込んだときだった。海の中から、女神様が現れた。 8:00ちょうど。大魚はそれほど暴れることなく、素直にネットに収まった。 興奮の渦巻く船上に、大魚が横たわる。大きさのわりにきれいな魚体。口からは消化しかけた魚がはみ出している。プライヤーで口の周りに掛かった3本のシングルフックをはずす。そしてgakuが両手を使って、大魚を持ち上げた。おおっ、その大きさに改めて自然の偉大さを感じる。86cm。cafeレコード更新である。船長やら、kosukosuやら、皆こぞって写真を撮った(船長の撮った写真はシーバスジョイマリンのHPで)。 しかし奇跡はこれで終わらなかった。トロフィーサイズの興奮覚めやらぬ中、今度はeryuにヒット!これも、なかなか大きそうだ。しかしである。竿がしならないのである。普通は良型がかかったら、ロッドのしなりとリールのドラグを使ってやり取りをするではないか。だがeryuは違う。まず、ロッドを持つ手がリールの足をはさんでいない。グリップエンドを握っているので、今にも手から抜け落ちるのではないかとヒヤヒヤする。その上、根がかりをはずすときのように、ロッドとラインを一直線にして引っ張っているのである。これでは魚を釣り上げたいのか、糸を切りたいのかわからない。後でeryuに聞いたところ、この日はレンタルのロッドだったため、折れるのが心配で竿をしならせられなかったらしい。とにかく、そんな不思議な釣り方でも魚は寄ってきた。だが水面に魚体を見せたと思ったら、下に突っ込む。また浮き上がってきて、また突っ込む。まるで、先日ラインを切られたときのような情景に、おもわず魚、いやeryuがんばれと祈る。その祈りが通じたのか、船長のサポートが良かったのか、魚は無事ネットにすくわれた。8:05、これも75cm、cafe歴代2位の好記録だった。 これで、とうとう魚を手にしていないのはkosukosuと僕の二人だけになった。こうなると「僕たち、みんなのために写真を撮ってあげてたからさ、ねぇ(顔を見合わせながら)」などという言訳も空しい。と、くだらないことを考えている間に、またもやrokoにヒット。だがあえなくばらしてしまった。段差バリのチモトで切れて。とゆうことは、またもや大きかったってことか! まずいぞ、とにかく。あせる気持ちを抑えながら、どうしたらよいか考える...ん?そーいえば、gakuもeryuもrokoもメタルジグだったな。かたや、まだ釣れていないkosukosuと僕は、船長の言いつけどおりバイブレーションを使っている。となれば...ようし、わかった!加藤武演ずる警部並みの推理によって導き出された結論は、「メタルジグが良さそう」だった。 船長には悪いが、こっそりとメタルジグに戻して真下を探る。と来ました、待ち望んでいたヒットが。けっこう明快にグイグイと引く。来た来たと騒ぎながら、リールを巻き上げる。頭の中では、gakuやeryuのような水面近くでの死闘を思い描いて。だがファイトなどなかった。水面まで上がってきた魚は、そのまま宙を舞って船上に上がってきてしまった。ちっちゃい...80up、70upが続いた後では、この釣果に目を向けてくれる人などいるわけもなく、近くにいたgakuに頼み込んで写真を撮ってもらった。だが実はこのとき、ただ一人、この小さな魚を羨望のまなざしで見ていた男がいたのだった。 その男は、僕がメタルジグに付け替えて釣ったのを見ていたらしい。さっそく自分もルアーチェンジにかかった。しかし、そのとたんにポイント移動となってしまった。男は渋った。cafeを立ち上げたのは俺だ。その俺が、今日、ボウズで終わるなんて。このとき、男はgakuのマネをして、ロッドを海に捧げるべきか悩んだかもしれない。あるいはフックの先にゴカイをつけたいと思ったかもしれない。とにかく船は次のポイントに到着した。男に残された時間はあまりない。 ポイントに着くと、kosukosuには珍しくミヨシの釣座を譲ってもらっていた。そこまで追い詰められたのか、kosukosu。しかし、これが功を奏した。kosukosuの竿に待望の1尾がぶら下がったのだ。その魚はたしかに小さい。しかもあごにすれている。それでも最後の最後、全員がボウズを逃れたのだ。雨に濡れてわからなかったが、きっとkosukosuの頬は滂沱の涙が滝のように流れていたに違いない。 その後は、kosukosuが派手な根がかりで一瞬船上を沸かしたが、追加はなく10:00で寄港となった。雨は冷たかったが、モンスターの出現あり、奥さんの初ゲットあり、そして葛西店オープン以来4ヵ月半ぶりの釣果ありと、実りの多い船釣りだった。よかったぁ。 |
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