【番外編 『公園デビュー』】

date

2002/06/15(sat) 中潮

point
葛西(左近川親水公園)
report

 W杯日本決勝進出の喜びに沸く朝刊とともに「アエルデ」というタウン誌が配られた。そこに「左近川親水公園で手長エビ」の記事が載っていた。赤虫さえあれば結構簡単に釣れるらしい。また手長エビより簡単に、この記事に釣られる者もいるらしい。

 左近川親水公園は、我が家から歩いて行けるところにある。荒川と旧江戸川を結ぶ水路に沿って広がり、白鳥ボートなんかも浮いているこぎれいな公園である。休日ともなれば、散歩人やスケボー少年などでなかなかの賑いを見せる。また手長エビだけでなく、ハゼの釣り場としても知られている。セイゴも釣れるらしいが、投げ釣りは禁止なので、ルアーは使えない。残念である。ルアーさえ使えれば、オレ様の腕を見せられるのだが。陸っぱりシーバスの1年ボウズ達成目前のこの腕を。

 さて話は変わるが、我が家のマックスも4ヶ月にわたる人生経験を積み上げ、このたびようやく外に出られるようになった。今日はまさに初めてのお散歩をする日だったのである。妻とは以前より「左近川に連れて行こう」と話し合っていたこともあって、散歩と釣りのダブル公園デビューとあいなった。

 まず近所の上州屋で手長エビの仕掛けと餌をそろえる。それからマックスのウンチ処理用トイレットペーパーやら、初めてのお散歩撮影用デジカメやらをバッグに詰め込んだら、いざ公園へ。お外への最初の一歩。ほれ行くぞ、マックス。エビみたいに後ずさりしてないでさ。ほれ、ほれ。

 努力の甲斐なく、公園までは妻が抱っこしていく羽目になった。お散歩じゃないじゃん、これじゃ。結局、ペットを甘やかす小恥ずかしい飼い主の姿で、左近川の橋を渡った。

 さて手長エビであるが、これまで釣ろうと思って釣ったことがない。となるとポイントも釣り方もわからない。純な少年時代のザリガニ取りも、たいてい手で捕まえてたしなぁ。しかたがないので、甲殻類だからおそらく岩の陰に隠れているのだろうぐらいに考えて、ポイントを探す。左近川の川岸は石積みになっているところが多く、その石と泥質の川底との境目を狙ってみることにした。でもはじめは、生き物がいるように見えなくて、よくわからないままに竿を上げたり下げたりしていた。そしたら釣れていた。

 「なんだ簡単じゃん」とたかをくくって、また竿の上げ下げをしていると今度は小さなハゼがかかった。ここ最近味わったことのない爆釣モードである。「爆釣」とは人によって定義が異なるが、ここでは広義に捕らえてみた。

 しかし小さな手長エビ1匹では、ビール1口くらいにしかならない。我が家は妻が、もとい妻も飲むので、10匹くらいは釣りたいところである。そこで今度は、石のきわを狙って餌を落としてみた。すると、石の影から長い腕がにゅうと伸びて、餌を抱え込むように影の中に取り込んだ。そこで十分に咥えられるように時間をおいてから竿を上げると、これぞまさに手長エビといった風格の大物が姿を現した。「大物」とは人によって定義が...

 ところで、エビを釣っている間、近くの岸際に銀色の鉄パイプ風のものが沈んでいるのが見えていた。ウナギっぽくも見えたのだが、まさかこんなところにね。と、またエビに専念していると、足元を2尺はあるウナギが悠々と泳いでいった。見るとさっきの鉄パイプ風はなくなっている。エビ釣ってる場合じゃなかったような。ちなみに石積みの間からはネズミが顔を出したりして、見ようによってはシュールな生態系を描いているな、ここは。

 さて本命の手長エビだが、その後小物2匹を加えて、とりあえず箸休め程度にはなった。初の釣行でこれだけ釣れればOKだろう。ただ、過去の実績からすると、初物以降は釣果が減少する傾向にあるのが、ちょっと気がかりだが。

 おっとそういえば、今日はマックスと一緒だった。釣りをしている間に、妻が連れまわしたお陰で、とりあえず自分で歩くようにはなった。だが、知らない人についていこうとするは、声をかけられると誰彼かまわず仰向けになって喜ぶは、よその犬が近づいてくると飼い主の影に隠れるは、マーキング跡を嗅ぐわりに自分はおしっこしないは...まったく。前途多難。それでも帰り道に出会ったニッカボッカ軍団をして、女子高生のように「か〜わいいっ」と言わしめたのは、子犬の面目躍如といったところ。

 エビは殻ごと炒めて、塩を振り、おいしくいただきました。

result

手長エビ 4匹、小ハゼ 1尾

photo
手長エビ ほんとに長い

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