【旧江戸川原寸景】

date

2001/08/25(sun) 大潮

point
葛西(旧江戸川河口)
report

 荒川の河口で時合を逃がして、一夜が過ぎた。たしかに、ほんの30分かそこらの差で釣り損なったのは口惜しいが、片やたいへん貴重な情報も得られたのである。これまでのささやかな経験からすると、同じ場所ならしばらくの期間、だいたい同じ時間帯で釣れるものである。うっしゃ、このネタを持ってすれば、長かったNo-Fish生活にも終止符が打てるぞ。

 と息巻いていると、妻が「マックスの散歩には行かないの?」と辛い選択をせまるのだ。

 なぜだー!

 喚いていてもはじまらないので、何とか妥協点を探してみることにした。まず荒川の河口だが、土手から水際までぎっちりコンクリートで護岸されているので、ジョギングや自転車には良いが、犬が走り回るにはいささか不向きである。一方、葛西の町をはさんだ反対側の旧江戸川は、土手が柔らかな草で覆われ、以前マックスを連れて行っていったときも大喜びだった。では、ここは一つ、「河口」つながりってことで旧江戸川の河口にでも行くか。ちなみに、水路でもつながっている。

 旧江戸河口には、シーバスをはじめた頃、何度か通ったことがある。しかし、釣れる前に土手の階段で転んで、竿にひびを入れたため、それ以来行っていない。今回久々に釣り場として眺めてみると、石積みの護岸があったり、湾岸道路の橋脚があったりと、なかなか魅力的である。餌釣り師も多く、ファミリーフィッシングの穴場にもなっているようだ。今日も良さそうな場所は先行者で埋まっていたのだが、そのバケツにはハゼに混じってセイゴがパクパクやっていた。ちっちゃいけど、これでもいいっ!

 マックスが他の散歩犬とじゃれあい、妻が飼い主の散歩人と話をしている。短くなった日が、早々と辺りを赤く色づかせている。そんな心休まる情景の中で、殺気立った釣師は沖に向かってルアーを投げ続けた。時は17時30分、昨日のオジサンが爆釣気分を味わった、まさにその時間帯である。さあ来い、ほれ来い。今なら、周りに人が大勢いるから、大きいのが連れちゃったりした日には、目立っちゃうなぁ。どうしよう。

 「杞憂」という言葉はだな、昔、杞の国に心配性の男がいてだな。そして今日ここに、その意味を実感した男が、旧江戸川のすかっり陽の翳った川原にたたずんでいたのであった。

result

なし

photo
No-Fish

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