【番外編 『パンドラの箱』】
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2002/11/10(sun) 中潮 |
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葛西(左近川親水公園) | ||
report
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初冬の日差しが傾く日曜の夕刻、通い慣れた左近川に出向いた。ただし今日の右手には、久々のルアーロッドが握られている。金曜の釣果で、cafe葛西店のあるべき姿を思い出したのだ。でもさ、もう片方の手には、秘密の小箱を握りしめてたりするんだけどさ。 左近川のほとりは錦に綾なす紅葉に彩られ、たなびく雲は夕陽の朱に染まっている。終わりかけた週末を、名残惜しむ家族連れの姿を映しながら、川の水はゆったりと流れている。 そう、ゆったりとね。潮が効いてなくてさ。早々にルアーを諦め、秘密の小箱を開けたのだった。ところが、餌ですら今日は反応が悪かった。ウキは水面に浮いたきりで、ハゼも釣れない。 すっかり陽も暮れ、どこかでチャルメラが鳴きはじめた。かなたからは、気の早いクリスマスメロディーも聞こえてくる。方角からして、やたらと尻を突き出す年寄りネズミとその仲間たちが奏でる、お気楽ソングか。いかんな、釣れんと気持ちまで荒んでくる。 心も寒けりゃ、体も冷える。今日はここらでやめとくかと、往生際悪く秘密の小箱から、最後の一つまみを取り出す。これを鈎にかけて目の前に落とすと、すぐにウキがゆれ始めた。期待に胸膨らませて見つめていると、すっとほの暗い水の中に引き込まれる。浮くなよ、浮くなよと心に念じる。この想いが通じたのか、しばらくもじもじしていたウキが、そのまま深みに沈んでいった。竿を立てると、走る、重い!セイゴの引きに、軟調ののべ竿が負け気味になる。最後はミチイトを掴んで、引きずり上げた。29cm、フッコとの境目といわれる30cmに一歩届かず、いささか残念。でも、これってルアーでも釣れるような。さらに残念。でも、うれし。19:10、左近川の自己記録更新。 秘密の小箱には、最後に希望が隠されていたよ。青イソメだけど。にょろっ。 |
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result
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セイゴ 29cm、ハゼ 2尾 |
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photo
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