【コイの予感】

date

2006/07/16(sun) 中潮

point
葛西(左近川水門)
report

 2003年以来の葛西オープンを開こうと思い立った。葛西オープンと言えば過去3回開催して毎回、魚の姿を見ることのできた奇跡の大会である。そしてホームグランドで3回とも優勝どころかボウズで終わった葛西店マスターは、奇跡の人である。いや、もう普通のおじさんでいい。今度こそ汚名を挽回したい。今年はすでに1尾釣っているし、ちょっとがんばれば何とかなりそうな気もする。そこで、らしからぬことにプラなぞやってみちゃったのである。

 さて、ポイントまでの足は毎度自転車だが、実は今回初釣行となる新車なのだ。行きつけのバーのマスターに譲ってもらったマウンテンバイク Wild Turkey号である。何年か前にワイルドターキーが、懸賞で作ったオリジナルバイクらしい。前後輪ともサスペンション付き、クリーム色のボディに茶色の皮のグリップとサドルが、なかなかお洒落なのだ。以前乗っていたマウンテンバイクに比べると、ホイールベースが短いのか小回りが利く。その分、直進安定性が悪いので、酔っ払って乗ると転んだりする。これを書いている今も、お尻が痛い。

 今回の釣行、リールも初物なのだ。ボーナスで新調したシマノのバイオマスターの3000Sである。浅溝タイプのスプールを初めて使ってみたのだが、ラインを巻いてもスプールの地色が透けて見えて、いささか心もとない。ラインの出方に慣れていないせいか、キャストもけっこう難しい。でもメタリックな輝きが、なんともカッコいいんだな。

 それ以外にも、飲み屋のくじ引きで当てたTシャツだとか、奥さんの釣り用に買ってそのまま使われていないウェストバッグだとか、初物づくしの釣行となった。ポイントも今年初の左近川水門を選ぶ。暑い日が続くと、なんとなくだが水門周りが良いような気がしたのだ。

 下げいっぱいから潮が動きはじめた午後3時、蒸し暑さを和らげる川からの風が心地良い。前日の夕立の影響か水は濁り、川面のそちらこちらにごみが浮いている。だいぶ大きくなったボラの子が群れをなす中、時折大きな金色の魚体がもじっている。ん?コイか?でもコイの生態はよく知らないが、こんな汽水域にはいないんじゃないか?となると、これはニゴイか?などと、ぼんやり考えたのは事実だが、決して確かめたいなんて思っていなかったのだ。

 水門前からすぐ両脇は水深があるので、表層から深場まで探ってみるが当りがない。そこで水門上手のゴロタが入った辺りにポイントを変えたところ、あっという間に根がかってしまった。正直、根がかりを外すのは下手なのだ。それでもフローティング系ならば、ゴールデンウィークの「穴さん最後の夏合宿」で見つけた「ほっとけメソッド」で、かなりの確率で回収できるようになった。ラインを少し引き出して、あとは波に任せておけば、その内ぷかーっと浮いてくるのだ。だが待っても浮いてこなかったり、シンキング系やジグにはこの手は使えない。そこで登場するのがルアー回収器である。といっても専用の道具ではない。雑誌のアオリイカ特集に載っていた、根魚用の球形のオモリにスイベルを付けただけのものである。根がかったらスイベルにラインを通して、オモリをルアーまで滑らせる。なかなか一気にぶつけられる訳ではないが、何度か竿を煽っているとオモリが当たって、根がかりが外れる。下手をすればルアーごとなくなってしまうが、オモリとスイベルだけなのでそれほど財布も傷まない。今回も2回ほど使ったが、2度とも無事回収となったのだから、けっこうな優れものである。ただし、せっかく回収できても足元にどしんと落としてしまうと、オモリがルアーのリップを壊したりするので注意が必要だ。いやぁ、体験に基づくアドバイスには重みがあるな。

 自作の回収器に気を良くしている間に、魚信もなく2時間近くが過ぎた。日も長くなりまだ明るいものの、暑さはずいぶんと薄らいできた。そこで気分も新たにルアーをレッドヘッドに付け替えてみたのだが、これがまたもや根にかかってしまった。竿を煽っても外れないようなら、また回収器の出番だなと、ちょっとだけうれしくなっていると、これが手前に寄ってくるのである。となると牡蛎殻を釣ったか?すると今度は突然、こいつが走り出したのだ。牡蛎殻は泳がない。魚だ!やった!でも、あれ、何?この、もっさりとした引きは。さっき見た金色の魚体が頭をよぎる。コイの予感。それにしても重い。寄せようにも動かない。と思ったら、今度は岸に向かったきた。護岸の足元まで寄ってきたところで、魚の影が見えた。ああ、やっぱり。さっきの金色だ。しかもスレてる。なんとか引きずるようにしてゴロタまで寄せて、潮溜まりの中に落とし込んだ。

 あがってきたのはニゴイ。その昔、故郷の天竜川で釣ったことがあるが、荒川ではお初。こんなところまで初物とは。潮溜まりでパクパクやっている姿が、なんとも切ない。あごの辺りにスレがかりしているのだが、何分ぶよぶよとしていて、なかなかフックが外れない。このときほど、流行のボガグリップが欲しいと思ったことはない。いっそルアーごとリリースしてしまおうかとも思ったが、何とか外れたので潮溜まりの先に放り込む。ところが浮いて岸に寄せられてしまう。しかたがないので、意を決して魚を抱え上げ、深場に落とすとあっという間に姿を消した。

 あ!今回は葛西オープンのプラだった。本番でまた金色、釣っちゃったらどうしよう...

result

ニゴイ 60cmぐらい

photo
魚、自転車、回収器 なんだかんだ言いながら魚の写真は撮ったのさ

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