【番外編 『ぼくの夏休み』】

date

2002/08/15(thu)〜18(sun) 中潮〜小潮

point

三陸海岸(長部漁港〜只越漁港〜石浜漁港〜要谷漁港)/一関(本寺川)

report

 今年も盆の休暇を、岩手の妻の実家で過ごすことにした。去年の教訓を生かして、8月13日から14日にかけての深夜に東京を出発。渋滞知らずの快適ドライブで、まだ靄晴れぬ朝マヅメ、もとい朝未だきには、居間でゆっくりと茶をすすることができた。

 しばらくすると義兄の家族もやって来たので、皆で墓参りに行く。その後は、昼寝をしたり、ブルーベリーを摘んだり、温泉に浸かったりと、満点の夏休み気分を味わった。マックスも初めて首輪なしでお外に放してもらい、大喜びであぜ道を跳ね回っていた。草刈をしていた隣のおじさんがそれを見て、黒いウサギと勘違いしたほどだ。こうやって謎の生物の噂が広がっていくんだな、きっと。

 さて、その晩のこと、食事が終わって一杯やっていると、中一の甥が釣りに連れてってくれと言う。そーか、そーか。ま、この叔父さんに任せとけば、後は言わずもがなだ。では明後日の早朝、迎えにいくから。

 翌15日、街に出たついでに甥の分もタックルを追加しようと、地元の釣具屋「かっぱ堂」に立ち寄った。この店は上州屋並の大きさがあって、ルアーもなかなか充実しているのだが、なにせ「かっぱ堂」である。店の外には、昭和の漫画チックな目をした剽軽な河童まで飾られているのである。店に向かう途中、「かーっぱ、かっぱ、かっぱのマークの」と、見当違いなテーマソングが頭の中でなり続けて困ったのだった。しかしもっと困っていたのは、それを小さな声で口ずさみながら運転している夫の横に座った妻だったかもしれない。

《ぼくの夏休み》
 さて、そのかっぱ堂で定番エコギアとジグヘッドを買い足して、山間の妻の生家に戻ると、空はうっすら日暮れ時。目の前には、青々とした山と若い稲穂がそよぐ田んぼの間を縫うように、ハヤの群れる小川が流れている。今年は見かけていないが、去年はヤマメも泳いでいた。ちょっとさぁ、竿出してみる?誰にともなく問いかけながら、6フィートのバスロッドに、REBELの小さなフローティングミノーを結んでみた。

 竿を担ぎ、マックスを引きつれ、家のそばにある小さな堰の縁に立つ。対岸の斜面からは木の枝が張り出し、足下には雑草が生い茂る。とりあえず竿振っとこってな感じで、堰の下で泡を立てている落ち込みにREBELを投げ込んだ。そしてルアーを巻き寄せると、その背後を追いかける魚影が!い、いるぢゃん!興奮の度合いはマックスにも伝わり、思わず初めてのお外ウンチをしている。しかし、バイトには至らず、しかも最初の1投で見切られてしまった。その後も間をおいて狙ってみるが、もう一度チェイスがあっただけでこの日は終わった。

《僕の夏休み2》
 16日は眠い目をこすりながら、甥っ子を伴って三陸の海へソイ釣りに行く。去年は、妻と二人でボウズの憂き目にあった。そこで今回はかっぱ堂で購入した釣りマップと、店の人に教えてもらった情報を元に、綿密なる計画を立てた。なんだかんだ言いながら、かっぱ堂頼みだな。ともかく、よし、今年は唐桑半島の根元、只越漁港からスタートだ。と去年と同じ芸のなさを露呈しながら、妻の運転でまどろんでいると、いつの間にか違う港にたどり着いていた。おまけに、ただでさえ車に弱いマックスが、山道のうねりですっかり酔ってしまい、ひざの上でゲロをしている始末。くぅ、しまった、思いもよらぬところに落とし穴が。まあよい、計画変更、長部漁港からスタートだ。

 まずルアーの結び方やらポイントの探り方やらを、えらそーな態度で甥にレクチャーする。普段は利かん気の甥も、今回は叔父さんの言うことに素直に従っている。もし、このサイトの釣行録で華々しい釣果の数々を見知っていたら、ここまで素直だったかどうか。

 無事タックルの準備も終わったところで、初心者の甥もいることだしと、安全な港内からはじめることにした。だが正直なところ、堤防周りでソイの類を釣った例がない。よくガイドブックには「ケーソンの継ぎ目や係留ロープ周りなど変化のあるところをを狙うべし」と書いてあるけど、どうもね。そこで甥の目を盗んで、外側のテトラに乗った。台風13号が近づいていたこともあり、外海はかなり荒れている。その強い波に乗せて、ジグヘッドをテトラの隙間に流し込む。ここでいい感じのあたりがあったのだが、甥も気づいてテトラに進出しはじめたので、しぶしぶ場所を変えることにした。テトラにも18禁とかR指定とか書いといて欲しいものである。でも、かえって乗りたくなっちゃうか。へへへ。 えっち。

 次は、当初の目的地である只越漁港に行くが、ここはかすりもしない。いったん昼食を取り、それから石浜漁港まで南下。ここでも釣果が出ない。今度は北に戻って要谷漁港にたどり着くと、その頃には天気予報に反して雨が降り出していた。その上、ここの沖にある穴あきの根が、ちょうどお盆のお供え物を流す絶好のポイントになっているらしく、後から後から地元の人が来るので、釣りどころでなくなってしまった。甥もとうに飽きて携帯のテトリスに走り、叔父さん株は大恐慌並の下げ幅を見せたのだった。

 と、普段の釣行録だったらここで涙の結末を迎えるのだが、今回は違うよ。無残な三陸釣行からの帰り道、またもやかっぱ堂により、スピナーやらスプーンやらを買い込んだ。そう、狙いは家の前の小川だっ。

《僕の夏休み(もう1回)》
  翌17日の夕マヅメ、満を持して堰に向かった。といっても、玄関を出てすぐなのだが。まずは買い込んだルアーの中から、スプーンを選ぶ。なぜか。それはスプーンで釣れれば、カッチョイーように思えたから。でも、そんな理由じゃやっぱりだめで、スプーンは堰の落ち込みを素通りしてきてしまった。だったら、次はスピナーだ。こっちが本命さ。最初から、そう思ってたんだよな。でも、これも無反応。結局、堰では魚影を見ることもできなかった。

 あーあ、がっかし。まあ、また明日の朝にでもと、家に戻りながら、未練がましく、小さな瀬の中にルアーを通してみた。根がかり。これを外して、今度は瀬の下のえぐれた部分に投げ込んだ。すると。プルッと、プルッときた!しかし、あわあわとリールを巻くと、魚の感触が消えてしまった。あーあ、またもや、超がっかし。と思っていると、またプルッと、プルルッと。外れてなかった!ついてた、ついてたよぅ。えがったぁ。そのまま軽々と抜き挙げると、そこにはパーマークも鮮やかな小さなヤマメぶら下がっていた。魚は10cm程度の小物だったが、管理釣り場ではない野の川で、しかもヤマメを釣ったことに、大きな満足感を味わったのだった。

 ルアーは、かのBrettonのスピナー(#1 3GR)。銀のブレードに緑の水玉が超カ〜ワ〜イ〜イ〜。2個1組で560円と、とってもお買い得。しかも、このBretton、この後さらに釣果を伸ばしてくれた。それまでルアーでは釣れないと思っていた、アブラハヤがヒットしたのだ。しかも立て続けに2尾釣れたのだから、これは偶然とは思えない。後でクラッピー+ナス錘のアンダーショットでも試してみたが、ルアーではなく銀色の錘に寄ってくるので、どうもキラキラしたものに弱いようである。もちろんスプーンにも良い反応を見せる。ただ、そこそこのサイズがないとヒットしない。まあハヤならどこにでもいるだろうから、万が一、これを読んでいる小中学生がいたら、夏休み最後の悪あがきで試してみよう。

《ぼくの夏休み(さらにもう1回)》
 しかし心残りは、堰の下にいたヤマメである。明らかに、釣った魚よりも大きかった。とゆうわけで、東京に帰る18日の朝、最後の悪あがきをしたのだった。

 結果は坊主。しかし、澄んだ浅瀬を20cmクラスのヤマメがルアーを追いかけ、一度などはバイトまでしたのだから、これ以上望むべくもない。禅僧のごとく心安らかに、東京への家路についたのだった。

result

ヤマメ 1尾(10cm)、アブラハヤ 2尾(13cm)

photo
川魚 淡水っていいよねぇ
ポイント 紹介しても多分行けないでしょう

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