番外編 『一関悲話』

date

2003/8/13(wed)〜2003/08/16(sat) 大潮〜中潮

point
一関(本寺川)
report

 冷夏である。盆休みで帰省した一関もあまりに涼しく、半ズボンなぞ穿いている奴はいい笑い者だ。そりゃ暑がりの小太り(半ズボン着用)には過ごしやすかったが、世の中はそうばかりも言っていられない。東北地方では稲穂に花がつかず、93年以来の米不足に見舞われるかもしれない。妻の実家でも今年は収穫をあきらめているようで、いつもは送ってもらっている米を買うことになりそうである。家計直撃。ちょっくら財布の紐を締めないと、と思っている先から妻がパチスロですってたりする。7月に一撃30万の大勝をした余波である。これはひとつ義父から注意してもらおうと言いつけると、逆にミリオンゴッドで34万取った武勇談を聞かされるはめになった。娘も娘なら、親も親である。

 しかし、この家にはヤマメの泳ぐせせらぎがある。雨が続いたせいで、清らかな水が滔滔と流れている。その中をパーマークの浮いた魚影がよぎる。うし、釣る。絶対。

 と意気込んでいると、義兄の家族がやってきた。去年、ルアーの投げ方とボウズのしょっぱさを教え込んだ甥っ子も一緒である。仕方ない、今年は釣らせてやるか。この小川にはアブラハヤもいて、スピナーなんかに反応する。ターゲットはこれだな。ヤマメはおじさんのだから手出すなよ。ルアーはそこの淀みに投げ込んで、あとは巻くだけだから。こんな感じ。と、見せたお手本にアブラハヤがかかった。ぴょこん。鼻が伸びた音である。これでおじさん株急上昇!のはずだったが、肝心の甥っ子が釣れず、ちょっとお小遣いをあげたりしてごまかしたのだった。

 さて、本命のヤマメである。こいつは人の姿が見えると、あっという間に逃げてしまう。腰をかがめ草むらに身を隠しながら、魚の居着く水辺に近づく。そっとルアーを投げ込み、静かに巻き寄せると、その後を魚が追ってきた。バイトはしないが、まだ目の前でたたずんでいる。釣れるかも。高鳴る鼓動を抑えて、もう一度キャストしようとすると、目の前に黒い影が割り込んだ。あっ、マックスぅ。

 ヤマメは泳ぎ去り、今年の夏の終わりを告げた。

result

アブラハヤ 1尾

photo
なし

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