【サオふっちゃった。】

date

2006/04/28(fri) 大潮 〜 05/05(fri) 小潮

point
葛西(荒川河口)
report

 先日ホームページを更新したのを機に、ここ最近の釣行録を見直してみた。そして、つくづく思った。

 ふざけている。

 ふざけすぎている。釣りに対する真摯な姿勢が、微塵も感じられない。週末になれば逸る気持ちを抑えながら、深夜の首都高をひた走った、あのピュアな心はどこに行ったのか?台風が来れば釣れる確率が上がるからと、身の危険も顧みず暴風をついて岸辺に立った、あの不屈の精神はどこに行ってしまったのか?札束はたいてボートに乗って、お気楽に釣っちゃおうなんて、思いっきり日本人しちゃったりして。いったい、どうなってんだ。どうなんだ、え、穴山っ!

 ・・・釣りゃいいんだろ、釣ってやろうじゃねえか。釣ってやるよ、絶対釣ってやる。なあみんな!一人だけど。

 幸いなことにゴールデンウィークである。この長期休暇を利用して、荒川河口のデータを取り直し、爆釣メソッドを、いや多くは望むまい、時々でもいいから何とか釣れるメソッドを見つけ出すのだ。かくして、伝説の「穴さん最後の夏合宿」が始まったのだった。春だけど。

《4月28日(金) 大潮》
  さて初日である。で、どうするか?お、そう言えば先週のボートで、けしからんガイドが客を差し置いて魚をかけていたのは、湾岸道路の橋脚周りだったな。その辺から狙ってみるか。

 久々に自転車での釣行である。我が家に2台ある自転車の内、まともに変速できるほうは奥さんがパートに乗っていってしまっている。そこで、ペダルがぐらつく乗りにくい自転車を使うことになった。こんなところから、自らに試練を課すなんて、俺ってストイック。ちなみに以前の釣行録で書いた、折りたたみ自転車は錆びてぼろぼろになった挙句に、盗まれてしまった。

 晩春の日差しが和らぐ午後4時。荒川の土手を下っていくと、橋脚手前の下水処理場の水門辺りがざわついていて、なんとなく良い感じである。そこで、ここから橋脚まで釣り下ることにした。毎度のBOMBERの金黒を、あちらそちらと放ってみるが当りもない。橋脚にたどり着いた頃には、潮が上げてきて、そこに波が立つと長靴の中に水が入ってくる。初夏に近いとはいえ、濡れると寒い。なんとか1時間半粘ったものの、釣れずに終わる。

 ・・・yoichくん、ボウズはきつい?
 ・・・ええ、でももう慣れました。
   今はみんなボウズが面白くて仕方ないくらいです。

 んなわきゃ、ないだろ...

 で、久しぶりの自転車だったので、帰り道、曲がるところを間違えてしまった。これが一本間違えると、不思議なことに駅前近くの人通りが多いところに出てしまうのである。びしょ濡れのズボンに長靴をがぽがぽ言わせながら、竿を担いでがたつく自転車を漕ぐ姿は、なんとも哀れを誘ったことだろう。試練は、まだまだ続くのだ。

《4月29日(土) 大潮》
 午後になって雨が降ってきた。で、釣り中止。で、もてあました時間でパチスロなどやって、見事に大敗。ゴールデンウィークなんかにホールに行くなんて。こらえ性がなさ過ぎる。辛抱、我慢、辛抱、我慢。

《4月30日(日) 中潮》
 今日はいい天気です。でも、またもや釣り中止。奥さんが休みなので、家族サービス。といっても、家でぐうたらしてるだけなんだけど。 

 ・・・ごんろごろごろごろ、死んだまぐろみてぇに。あんたらにはなぁ、もうウチのご飯は食べさせねぇからな。なぁ。 by奥さん(マックス相手に)

 この後のゴールデンウィーク中に、釣りに行くことはあるんだろうか。

《5月1日(月) 中潮》
 奥さんが行こう行こうってゆうからさぁ。またもや河口ではなく、ホールに行ったりなんかして。

 ・・・やっぱ俺にはスロット似合わないよ。おまえスロット好き?
 
・・・好きじゃないけど。
 
・・・じゃあ何で行ったわけ?誘っといてなんだけど。
 
・・・人から誘われたの生まれて初めてだったから。

 そんなことはないです。いいから、釣りしろ、俺。

《5月2日(火) 中潮》
 マックスを散歩にでも連れて行こうと窓の外を見ると、空はどんよりと曇り、時折強い雨が降りぬける。そして、いつもの釣り場のそばの観覧車を、何気なく見やったときだった。

 稲妻がはしった。

 ・・・(yoichiがいないのを見て) yoichはどうした。
 ・・・雨が降る前にこっそり出て行った。

 ・・・(そして篠突く雨の中、竿を振るyoich)

 うそうそ、雷喰らって死んじゃいますから。

 連日の嘘話も、そろそろ飽きられそうな...

《5月3日(水) 中潮》
 今日こそは釣りに行こうと心に決める。で、まずは準備だ。先日の濡れ濡れ竿師の羞恥プレイだけは、なんとも避けたい。あ、そうだ、ウェーダー持ってたんだった。

 ・・・yoich、ウェーダーはだめだ。ボウズ続きだからといって、例外は認められないそうだ。脱いでやってくれないか。

 いや、ちょっと、いいでしょ履いても。何とか例外を認めてもらったウェーダーをカゴに乗せ、荒川の土手を自転車で流す。あれ?人が多いような...そう、今日から世間も連休にと突入したんだった。

 ・・・(でこをぺしっ)あっ、そうだった、そうだった。

 入ろうと思っていた橋脚周りも、その上流にある水門にも人がついている。そうか、我校だけでなく、北東学院の奴らも合宿に入ったな。

 ・・・あと1時間やそこら竿振って、あいつらに勝てると思うか?

 竿を振る前からすっかり弱気になりつつ、なんとか良さそうなポイントを探す。土手を下流に向かっていくと、河口角の辺りはぶっこみの餌釣り師が陣取っているせいか、ルアーマンが少ない。じゃあ、ここから始めるか。午後4時、とりあえず、ぶっこみポイントの上流でキャスト開始。潮は上げ2分、ごろたがすっかり干上がっている。水は前日の雨のせいか、笹にごりのくすみが強い。となればルアーはアピールカラーを結ぶべきところだが、あえてBOMBERの銀色のを投げる。

 なぜナチュラル系のBOMBERか?だって、ルアーの整理をしたら、余ってたんだもーん。もうルアーやめたほうがいいんでないのくらいの凋落ぶりで選んだBOMBERは数投で根にかかり、軽く煽ると貝殻に当ったのかあっさりラインが切れてしまった。でも、その切れたルアーがぷかりぷかりと目の前に浮いているのである。そこでこれを引っ掛けようと、やはり家にあまっていた上州屋でカゴ売りしていたらしき赤金のリップレスを投げてみた。すると、なんと一投目でこのルアーを回収しちゃったではないか!

 正直に言う。この時点で、「ああ、今日の運は使い切ったな...」とあきらめ半分、いや九分だったのだ。

 ルアー回収の興奮冷めやらぬまま、ふと餌釣り師の方を見ると、彼らの釣座が河口の角からけっこう離れていることに気がついた。角は波が撚れて、餌釣りには向かないのか?それとも、釣れないからか?でも、今日はウェーダーを履いている。よし、とりあえずそこの角っちょ、いただきましょう。

 だが、とりあえず大場所に立ってはみたものの、さて、ここからどうしたらいいか?なにせ実績がないので、せっかくの好ポイントを、どう活かしていいのか判らないところが哀しい。途方にくれた挙句に、さっきあまっていたというだけの理由で付けた、赤金のリップレスをそのままキャストしたのだった。

 その数投目である。ルアーがごろたに差し掛かるかどうかというところで、竿先がくんくんと引かれた。ん?これって?実績のなさはこんなところでも哀しさをにじませ、魚信に反応できずに軽く固まったりしたのだったが...

 ・・・巻っけー!

 太っちょマネージャー正子の声が、頭の中に響き渡った。おおお、その声で我に返ると引きを楽しむ余裕もあらばこそ、ぐりぐりと魚を引き寄せる。ばれるなという願いを、ウェーダーによる足場の低さが後支えしてくれる。最後は、よっと軽く持ち上げてランディング。16:40、46cm、ルアーはその後ロストしてしまったのでよくわからないがSEA MASTERS(?)の10cm。のっこみなのかきれいな魚体が、都心に沈む夕陽にきらめく。これが2001年6月以来、なんとも約5年ぶりの陸っぱりの釣果なのだ。感慨も一入。夜は喜びのビールかけを、と思ったが、もったいないので口の中にかけてみたのだった。

 ・・・やったー!(ここは別に映画から引き合わせなくても...)

《5月4日(木) 小潮》
 さてさて、年甲斐もなく大はしゃぎした釣行から一夜が過ぎた。ここらで一つ、昨日の勝因でも分析してみるか。と、軽くいい気になりながら、頭を捻る。

 ・・・"頭捻り"って書いて、ずぶねりっていうんだ。
   まっ、俺の得意技なんだけど。

 得意技なのに苦手なのは、これいかに?

 それはさておき、どうも、そこりから上げ気味の時が良いような気がする。ちなみに、同様の分析結果は4年前の釣行録にも書いてあったりする。もしかして、僕って預言者?もしくは、物忘れの激しい人?

 とにかく今日の干潮を調べると、昨日より1時間遅い午後3時半となっている。そこで、昨日魚がかかった時間も視野に入れて、午後4時から釣り始めることとした。ちなみに、昨日の釣り始めも午後4時。考えても考えなくても一緒じゃん、なんてことは口が裂けても言ってはいけない。

 ところで昨日魚をかけたルアーは、残念なことにロストしてしまって、リップレスの赤金が手元にない。そこで、上州屋に仕込みに行くことにした。ただ根がかりの多い河口のこと、ルアーはお買得品で済ませたい。と思って見渡すと、ありました、SEA MASTERS。どうもDarterMinnow108といのが商品名らしい。ただ赤金がない。何とももどかしい想いで更に店を探してみると、A-tecという、やはり知らないメーカーのSurfaceMinnow110なる安売りリップレスを見つけた。これなら赤金もあるし、他にもパールや鰯カラーもある。で、こいつが訴えるのである。

 ・・・私、戦う。みんなと一緒に戦う。SEA MASTERSの代わりに私が戦う。
   お願い、出させて。

 というわけで、こいつを仕入れて、いざ河口へ。目指すは角である。ところが、なかなか着かない。南西から吹く、向かい風がきついのだ。食っちゃ寝、食っちゃ寝してたら、醜いブタと呼んでください。いえ、そうではなくて。すっかり肉付きのよくなってしまった体には、風に逆らって自転車を漕ぎ続けるのは、とても難儀なのだ。はぁはぁぜぃぜぃと息を切らして、ようやくポイントに着く。でも、ルアーが風に流される。昨日は東風だったから、キャストが楽だったのに。

 そういえば以前kosukosuが荒川に来たときも、こんな感じで釣れなかった。ということは?kosukosuが来てる?じゃなくて、釣れないんじゃないの?

 釣れませんでした。そういえば、魚を捕る海鳥の急降下も見られなかった。デイゲームで南西の風は、だめそうだなぁ。と、5年かけて行き着いた結論はこれです。

《5月5日(金) 小潮》
 今日は奥さんの2日ぶりの休みである。でも、釣りには行きたい。そこで早めに帰ってくることを条件に、出かけることとなった。

 早めに帰るとは言ったものの、それなりに釣る時間もほしい。片や狙いの干潮は午後4時50分で、その時刻には竿をたたまないといけない。よし、じゃあ今日は早めに出て、下げ潮の具合でも見てみるか。なんて、分析してるっぽいことを言ってみたりして。

 と時間は決めたものの、今日も今日とて強い南風が吹き荒れている。街中では初夏の涼風であっても、河原に立つとその勢いに、釣りの志もぐんにゃり曲がってしまいそうになる。そこを何とか気を取り直して、ポイントをどこにするか考える。昨日も同じような風で、河口角はだめだったなぁ。

 でも、河口角に立ちました。時合が違うしね。ってゆうか、釣れた実績がここぐらいしかなくて...他に身寄りもないし...なんて同情を誘って、魚も誘う作戦であったが、釣り師の心フッコ知らず。ぴくっとも来ない。

 策を弄してもだめなら、後は粘りあるのみ。メソッドはどうしたという心の声を無視し、ひたすら投げて巻いてを繰り返す。

 ・・・巻かば巻け。引かば巻け。釣りの基本は巻きだ。
 ・・・うわーっ!
 リール巻きながら叫ぶの、やめてもらえませんか。

 しかし地獄の特訓も甲斐なく、時間だけが過ぎていく。そうこうしている間に、娘二人を連れたお父さんが、すぐ上手で餌釣りの準備を始めた。う、これで釣られちゃうと、おじさん形無しである。よーし、負けないぞぉ。

 ・・・腕白釣り選手権に目標変えたんでねえの?
 ・・・ただのイズィメでねえの?
 ・・・なぬぃが葛西店復活だ。釣りなめんのもいい加減にすぃろ。

 すいませんでした。子供の日なんだから、お子様たちを立てるべきでした。それをむきになったりなんかして。本日も当りなし。ちなみに、二人の子供たちは、それぞれ第一投で根がかりさせて、30分ぐらいかけてセットしていた竿を片付けていた。お父さんって大変だなぁ。いや、大変なのは親の趣味に付き合っている子供たちのほうか。

 暮れなずむ夕陽にうなだれて、はっと気づいて時計を見ると、時刻は6時になっていた。ああ、まずい。早く帰るって約束したのに。

 ・・・門限破りはお掃除300回に皿洗い300枚だよね。楽しみだね。
 ・・・お前、結構イヤな犬だな。
 マックス、お前って奴は...

《5月6日(土) 小潮》
 とうとう「穴さん最後の夏合宿(あのね、夏じゃなくて春なの)」も最終日を迎えた。え?ゴールデンウィークはまだ一日あるのに、なぜ?それは、「シコふんじゃった。」から引けるネタが尽きてきたからである。だから、もし明日また釣りに行ったとしても、それは「穴さん最後の夏合宿(春だっつうの)」ではない。どうでもいいことかもしれないが。

 さて最終日ともなれば、ここは一つ北東学院の奴らと練習試合でもと意気込んでみたが、断られてしまった。ふざけた釣りには付き合えんそうだ。

 しかたがないので、ちびっ子に胸を貸してやろうかと思ったが、残念なことに我が家のちびっ子は犬なので、少々釣りには向かない。肉球でも持てる竿を探すのは至難の業なので、いつもの通り一人で河口に出向くことにした。

 ところが天気が崩れかけているせいか、昨日にも弥増して風が強い。川面が三角に波立ち、兎が飛んでいる。これでは河口は無理だろうと水門を目指したのだが、こんな日に限って先行者がいたりする。さては、北東の奴らだな。隣で釣るのは悔しいので、更に下って橋脚周りを狙うことにした。

 とはいえ、この強風である。ミノーでは、風に流されてしまう。それにこのポイントは、元々バイブレーションの遠投が向くらしいのである。合宿の最終日でもあるし、ロストを避けるよりも釣果を優先したい。そこで根がかり必至は覚悟の上で、新品の1/4ozブレード付バイブレーション赤金を投げることにした。

 午後3時半、気合いを入れての第一投。せーの、パチン。え?キャスト切れした。重いルアーを投げ慣れていないせいで、景気良くバックスイングしてしまったのだ。ロストは覚悟の上とはいえ、こんな切れ方はないじゃないの。ねえ、ねえっ!めそめそめそめそ。

 と、いつまでも泣きべそをかいていたって、魚は釣れない。ここからはルアーをとっかえひっかえして、なんとか「穴さん最後の夏合宿(春...)」の成果を明日に残そうと試みることにしたのだ。って、すごく前向きでしょ。やっぱり一回でも釣れると、気の持ちようが変わるんだよなぁ。

 ・・・ゲリで釣れても釣りは釣り。人間、自信だ。
 あ、あの、お腹こわしてないし。そもそもゲリで釣れるって、よく判んないし。ウェーダーだから、たいへんなことになるし。

 おっかないOBの独り言は軽く流して、ついでにルアーも風に流して、それでもせっせとキャストを繰り返した。すると4時15分、9cmのチャート+パールのシンキングミノーにコツンと当りがきた。でも、乗らない。でも、当たった。

 ・・・ようしっ。
 ・・・やったー、やった、やった。やった、やった、やったー。
 ・・・おい、見てみんろ。一回当たって、ガッツポーズだぞ。

 いいじゃんかよ、当たったんだもん。釣れなかったけどさ。橋脚周りは釣れそうな気にもなってきたし。

 残念ながらこの後は当りもなく、風はますます強くなった。そろそろ身の危険も感じ出したところだったので、ここいらで「穴さん最後の夏合宿(春だっつってんだよ!)」の最終日も納竿としたのだった

 

 と、勢いで始めた「穴さん最後の夏合宿(春だっ...あれ、もう初夏?)」だったが、思いもかけず釣果が出てしまった。なんとなくではあるが、釣れそうな条件もわかってきたような気もする。そこで、いよいよ感動のエンディングである。

 ・・・yoich、葛西魂ありがとう。
 ・・・違うぜスマイリー。"One is all, all is one."だよ。
 きっと、スマイリーは割り切れぬ想いでロンドンに帰っていったことだろう。

 それにしても、よく釣れたなぁ。5年間ボウズ続きだったのに。万券きって乗ったボートでも釣れなかったのに。

 ・・・yoich君、5年間ご苦労様でした。
  いや、まだ引退しないんだけどね。

 映画なら、ここで美人マネージャー夏子さん登場である。

 ・・・ねえ、竿振らせてくれる?
 ・・・(にっこり微笑み、ウェーダーを脱ごうとするyoich)
 ・・・ なんで、そうなっちゃうんだよっ(ばしっ)。

 いやいや、おふざけもお色気もご愛嬌。でもさ、ちょっとだけ気がかりなことがあるんだよなぁ。あのさ、この次にさ、釣れるのはさ、また5年後だったりしてね。って、それだけは...

 ・・・やめて、とめて、やめて、とめて、やめて!

 

 ♪♪♪湾岸の橋の下で♪♪♪明日また逢いましょう♪♪♪

 

result

4月28日 No-Fish
4月29日 釣行せず
4月30日 釣行せず

5月1日 釣行せず
5月2日 釣行せず
5月3日 46cm
5月4日 No-Fish
5月5日 No-Fish
5月6日 No-Fish

photo

五年の歳月を経て 長かった...

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